エジプトって

どうもこんにちは、ほっしーです。

やっと週末です。最近疲れがたまってきているので、今週はどこかに観光にでも行きたいですね。勉強もいいけど、たまには息抜きしないとですね。

今日はエジプトのこれまでについて書いていきたいと思います。堅い話なので、面白くはないです。前回カイロアメリカン大の壁画について書いたときに簡単にエジプト革命について書きました。僕は大学でエジプト史を専攻しているので、現代エジプト社会にも興味がすごくあります。とはいえ、革命が起きたのは2011年の1月25日で、その時僕は高校生でした。この時は全くそんなことに興味はなく、へ~、アラブの春っていうのが起きてるんだ~ くらいな感じでした。

その年僕は大学に入学しました。そして大学2年になり、イスラーム史のゼミに入って本格的にイスラーム史を勉強し始めました。そしてその当初から、ゼミの先生に、自分が興味がある研究分野(つまりは卒論のテーマ)をはやめに見つけなさいって何度も言われてました。そして2012年、大学2年の冬でしょうか、僕はムスリム同胞団というエジプトのイスラーム主義組織について興味を持つようになりました。

ムスリム同胞団というのは1928年にハサン・アル=バンナーがエジプトで結成したイスラーム主義組織です。預言者ムハンマドとその教友の時代に実現されていたといわれる正しいイスラームへの回帰を訴え、様々な活動を通じて支持を拡大していきました。その活動はエジプト全土へと広がっていき、1949年までには団員50万人と同調者50万人を獲得しました。当時のエジプトの人口は2000万人であったので、そのことを考えるとこの数字がいかに大きなものかわかると思います。またその活動はエジプトのみにとどまらず、各国へと広がっていきました。この組織はナセル期以降、サダト、ムバーラク政権の弾圧にあいながらも生き延び続け、現在まで続く組織となりました。そしてこのムスリム同胞団がこのエジプト革命後の移行期において重要なファクターとなりました。

ムスリム同胞団についていろいろ勉強していくうちに、現在もまだ存在する組織なんだということを知ると、では現在ではどのような組織活動をしているのかということにも興味を持つようになり、いろいろ調べていきました。そして、ムスリム同胞団の団員であるムルシーという人物が、2011年の革命後の最初の大統領選挙(2012年6月)で勝利し、大統領になっているということを知りました。とても驚きでした。

しかしその1年後の2013年の6月、ムルシ―政権がエジプト軍により転覆されました。その理由としては、ムスリム同胞団出身であったムルシ―大統領が、ムスリム同胞団の都合の良いように政治を行っていること。大統領に就任して1年たつも、経済回復が果たされていない、公約が全く果たされていない、人民の不満が蓄積し、大規模なデモと、警官隊との衝突が起きている等が理由でした。もともとエジプト軍はムスリム同胞団とは長年対立してきた存在であり、ムスリム同胞団に政権を握られてしまったことを快く思ってはおりませんでした。なので軍はこの機をつかんでムスリム同胞団系の政権を転覆させました。事実上のクーデターです。

僕はこの時リアルタイムでニュースを追っていました。大学で自分が研究している組織がこんなことになっているんですからね。クーデターが決行される前から、軍は決行についての声明を出していたため、恐らく決行されるだろうとずっと言われていました。そしてムルシ―大統領は軍によって拘束され、再び議会も大統領もない状態、また憲法の再起草ということになりました。革命後の移行期の状態に再びもどってしまったわけです。そして全ての行程が終わるまでの間は当面エジプト軍が国政を運営していくということで、軍幹部のスィースィーが臨時大統領に就任しました。

このことはすべてが僕にとって衝撃的なものでした。だって自分が大学で勉強していることがこんなにも大きなことになって動いているんですから。エジプトの政治変動を見ていくことは学問的な意味では本当に面白いことでした。また、エジプト革命をテーマにした曲も作られたりしました。sout al-horeyaっていう曲があるんですが、その曲は革命の理念を表した本当にいい曲です。タイトルは日本語では「自由の声」といいます。MVも本当にいいです。ぜひ聞いてみてください。youtubeにあります。このMVを通じて、僕はエジプトとはなんだ?革命とは何だったのか?ということを視覚的に捉えていきました。

また僕は今回エジプトに来るさい、一冊だけ本を持ってきました。その本は早稲田大学の鈴木恵美先生が書いた「エジプト革命‐軍とムスリム同胞団、そして若者たち‐」というタイトルの本です。エジプト革命前夜から、ムルシ―政権が軍によって転覆された後までを説明した本で、僕的にはエジプト革命についての一番の良書だと思っています。日本で何回か読み直したのですが、こっちに来てからもまた読んでいます。現地の空気に触れながら読むというのは、日本で読んだ時とはまた違った感覚、視点で読めるのでとても面白いです。そして読んでるときに思うのが、あの革命は結局なんだったんだろう?っていうことです。ずっと軍が政権を握ってきて、革命によって初の文民大統領が誕生するもクーデターで倒され、軍政下に逆戻りです。ついこの前エジプトではこのクーデター以降初の議会選挙が行われました。しかし前回の選挙とは異なり、宗教政党が完全禁止されるなど制約の多いものになり、軍の思惑通りの結果しか出ないだろうっていう風に言われています。

このダイナミックなうねりの中で、最終的にどのような結末を迎えるのかなんてことは誰にも想像することはできません。革命によって倒されたムバーラク前大統領がその政権末期に述べた有名な言葉があります。

「私の評価は後世の歴史が判断するだろう。」

この革命が意味するものは長期的には何であったのか。それはまだだれにもわかりません。しかしこの革命がもたらしたものは少なくはなかったと思っているし、この先良い将来がこの国に訪れてくれればいいなって、外国人ながら思います。

それと同時に、大学で勉強していたことがこんなにも現在のリアルと直結しているのは、それを研究する者としてはうれしい限りです。この革命によって自分の関心も増えたし、これまでは知らなかった多くのことを知ることができました。僕が卒論で扱う歴史は1928年から1948年までのエジプトの歴史なのですが、実際は19世紀後半から現代までの歴史を知っている必要があります。比較対象が増えることによって分析もより精度が高まりますしね。ただ歴史をやっていただけでは少し退屈ですが、リアルと交わりあうことで面白みが生まれます。そしてあの時このテーマを選んだ自分をほめてあげたいなって思います。正直卒論ではアラビア語や英語を使用せねばならず、そのためだいぶ苦労はしましたが、そのおかげで英語もアラビア語も好きになり、そして今の留学という道へと経ています。

だからエジプトに来ても、社会分析や卒論の勉強、英語の専門書の精読など、アラビア語だけではなくってこれまでやってきたことを続けていきたいなって思っています。ここですべてをやめてしまっては本当に時間の無駄ですからね。そして大学を卒業するころには、多くを学べたなって胸を張って卒業したいなって思います。

さて、なんか支離滅裂になっていないですかね。自分でも書いているうちに何が描きたかったのか、何を結論に持っていきたかったのかわからなくなってしまったのでとりあえずこの辺で終わりにしますが、多くを見て、聞いて、感じて。五感をフルに使いながら、いろんなことを経験していきたいです。

それではさようなら!!

コメントを残す